月「くそ! どうして僕たちに相談しなかったんだ! 自分ひとりで勝手に決めて! 父親の恋人を殺すなんて!」
レナ「言ってどうにかなるなんて思わなかったんだよ。相談したらどうにか出来た? ライトくんに何が出来たのかな?」
月「方法なんていくらでもあったよ! 僕の父は警察だぞ!? まずその女達の会話を録音して…手段なんかいくらでもあった……」
レナ「……………。」
月「僕は誰にもこのことを言わない。レナは僕が守る!」
レナ「……ライトくん……。」
魅音「…私も。」
沙都子「わたくしもですわ。」
梨花「……。……ボクもなのです。」
月「ああ! 絶対に守ってみせる!」
竜宮礼奈 6月×日 綿流し後に自殺
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
さっきから誰だ? 人がせっかく久しぶりの安眠を貪っているというのに…。
「ごめんなさぁあい! すみませェん幸子」
父さん……。いくら仕事で失敗して地方に転勤させられたからってそんなに謝らなくても……。母さんも許してやれよ。どれだけ殴れば気が済むんだよ。もう父さんっていうかなんだよそれ。ユッケみたいになってるよ。
『クックック…、まさかこんな田舎に飛ばされるとはな。お前の野望もここで頓挫か?』
馬鹿言うなよリューク……。新世界の神がこんなところで終わるわけが無いだろ?
「ねぇお兄ちゃん、いいところだといいね」
「ああ、そうだな粧裕」
「名所とかは無いみたいだけど、少し出れば割と大きな街があるみたいだよ」
……お前は能天気で羨ましいよ。
「ええと……えへへ……お兄ちゃん、これなんて読むんだっけ」
「……また忘れたのか? 僕達がこれから住む場所の名前くらい覚えておけよ……」
「ごめんなさーい」
「これはな……雛見沢、ひなみざわって読むんだ」
ひぐらしがなくですの
月「行ってきます」
幸子「はーい、お弁当持った?」
月「勿論だよ。母さんのご飯を忘れたら僕が皆に怒られる。学校で評判なんだよ? すごく美味しいってさ」
幸子「あら、そうなの?」
月「おかげで友達も沢山できた。感謝してるよ」
幸子「おほほ……」
リューク『ホームドラマっぷりはここでも健在だな』
月「うるさいよリューク」
リューク『お、あれは……』
月「おはようレナ。今日も早いんだね」
レナ「そんなことないよ。本当に今来たところなんだよ。」
月「たまには僕が待っていられるようにもう少し早く起きようかな。なんならレナの家に迎えに言ってもいいかもしれない」
レナ「そ、それは駄目だよ。うち散らかってるから、見られたくないかな、かな?」
月「はは……まああれだけ『お持ち帰り』してればそうなるよね」
レナ「うん、でもみんなかあいいんだよー☆」
魅音「ライちゃーん、レナー! 遅いぞー。」
レナ「魅ぃちゃんだ。」
月「魅音……僕を『ライちゃん』って呼ぶの止めてくれって言ってるじゃないか………」
魅音「『ライト』って何だかそわそわするんだよねー。外人みたいでさ。おじさんだって呼びたくて呼んでるわけじゃないよー。」
月「じゃあ止めてくれよ」
魅音「あははー。もしライちゃんの名前が『圭一』とかなら『ケイちゃん』って呼べるんだけどね。今からでも改名しない?」
月「しないよ。この名前は結構気に入ってるんだ。でもまぁ、変な呼び方だけど魅音なら許せるな……」
魅音「え、それってどういう……。」
レナ「あ、魅ぃちゃん赤くなってる~。かあいいんだよ~☆」
リューク『なにこのラブコメ』
梨花「おはようなのですライト。」
月「おはよう梨花ちゃん。今日もかわいいね」
沙都子「おはようございますですわ、ライトさん!」
月「おはよう沙都子。今日も妙に発育がいいね」
沙都子「挨拶のついでに何を言ってるんですか!」
月「え、セクハラだけど……?」
沙都子「わたくしの方が変なことを言っているような反応をなさらないでください!」
梨花「発育だったら魅ぃの方が断然いいですよ。ボクと同じ生物とは思えないです。」
魅音「り、梨花ちゃん何言って…。」
月「確かに……」
魅音「ライちゃん近い! 顔近いよ!」
月(おっぱい……僕の創る新世界には欠かせないものだ……。はっ! ……おっぱい帝国……)
リューク『ライト……死神の目のことで言ってないことがあったんだが……。死神の目は、相手のスリーサイズやその他も見ることが出来る……』
月(リューク…………後で詳しく頼む)
魅音「ライちゃーん。」
月「ん、なんだいおっぱい(絶妙に韻をふみつつ)」
魅音「おっぱ…!」
月「ああ…ごめん、ついね」
魅音「絶対わざとだ…。」
月「で、どうしたの?」
魅音「ふっふっふ。ライちゃん、昨日の昼は一体何してたのかなー?」
月「? 興宮に買い物に行ってたよ。図書館で勉強もしたかったからついでにね」
魅音「何を買ったのかなー? 本屋で随分とこそこそやってたみたいだけどー。」
月「…どうしてそれを」
魅音「おじさんに分からないことなんざ無いのさ。で、なに買ったのかな?」
月「……べ、別に大したものじゃないよ…」
魅音「ふっふー。あてて見せようか。ズバリ、叶美香のヌード写真集! いやらしい! エッチなのはいけないんじゃないかなぁ。ていうかライちゃんああいうのが趣味なんだー。ふーん。」
月「何が悪いってんだ!」
魅音「!!」
月「僕だって自分自身が分からなかったさ! でもなんていうの? 恐いものみたさっていうのがあるじゃんよ! 感想は…ちくしょう! ある意味表紙で騙されたよ! はふう!」
魅音「……なんか…ごめんね。」
月「あ…こちらこそ…」
レナ「ライトくんは勉強教えるの上手だね。」
月「僕は器用だからね」
魅音「ライちゃん、ここ教えて。」
月「……魅音はもう少し出来てもいいんじゃないか?」
魅音「へへー。」
梨花「ライトは受験とかどうするのですか?」
沙都子「ライトさんなら東大狙えるんじゃないですこと?」
月「そうかな…自信ないな…全国模試で1位とった程度だし……」
魅音「十分じゃないの!?」
月「いや…へへ…別に自慢じゃないさ…へへ…ふふ…」
レナ「嘘だッ!!」
魅音「6はシックス。狐はフォックス。電話で送るのはファックス。じゃあ、アレは?」
沙都子「そ、そんなこと答えられませんわ!」
月「セックス」
魅音「ち、違うよ!」
月(! なんだと?)
魅音「沙都子はなんだと思ったのかなぁ?」
沙都子「うぅ……。」
月「……セックスは惜しいんだろ?」
魅音「か、かすりもしないね!」
月「馬鹿な…」
魅音「……正解は『ザット』でしたー! 英語で『アレ』は『ザット』でしょ?」
月「乙女は Do my best でしょ?」
魅音「なに言い出したの!?」
月「じゃあ僕からも問題な。女性専用の問題だから心して答えろよ」
沙都子「なんだか嫌な予感がしますけれど…。」
月「自分の両足を想像してください。人差し指と薬指の間にあるのは?」
魅音「……中指?」
月「正解。では、親指と親指の間にあるのは?」
沙都子「えーと…。」
魅音「沙都子! 逃げるよ! 変態だあ!」
沙都子「えっ? えっ?」
月「タマがねぇ! チンも!」
魅音「あれれー、ライちゃんはまだトランプの絵柄を覚えられないのかなー?」
沙都子「そんなんじゃいつまでも優勝なんて夢のまた夢ですわ!」
梨花「でもライトは何だかんだ言いつつ、最下位にはならないのです。」
レナ「ギリギリのところで頑張ってるんだよ。」
月「僕の記憶力ならそろそろカードを覚えられるはずだ…僕なら出来る!」
魅音「駄目だなー。絵柄を覚えることに終始してたら勝てないよ?」
沙都子「その前に勝ち星を稼がさせていただきますわ! アガリです!」
梨花「ボクのアガリなのです。」
レナ「私もあがりだよ。」
魅音「ふっふっふ~。さぁて、おじさんとライちゃんの一騎打ちだね~。」
月「魅音……。まぁ、魅音にやられるなら本望かな……」
魅音「ラ、ライちゃん……。」
沙都子「いけませんわ魅音さん! 敵は動揺を誘おうとしていますわ!」
レナ「色仕掛けだよ!」
梨花「ライトは女ったらしなのです。」
月「……。なぁ魅音……。君から見て右手側にあるハートの4…僕にくれないか…」
魅音「なっ!?」
沙都子「魅音さん!? その反応…まさか!」
魅音「あ、当たってる……!」
月「当ててんのよ」
梨花「ライトはカードと傷を一致させたのですか……?」
月「さて、どうかな……もしそうだとすればこれで条件は互角……」
魅音「ク…! 遊び過ぎた! ライちゃんには短期で決着をつけるべきだったか……!」
月「僕は器用だからね」
‐トイレ‐
リューク『くっくっく…ライト…楽しそうだな』
月「楽しいよ。程度は低いけど」
リューク『そうなのか? 部活って奴は結構白熱してなかったか?』
月「馬鹿いうなよ。手加減してたんだよ。悪いけど彼女達程度が僕に知略で挑むなんて無謀としか思えない」
リューク『……けどカードの絵柄覚えるなんて凄くないか? なんていうか、あいつらの情熱』
月「そう? あんなの初見である程度覚えられたよ。ギリギリで覚えたのは演技さ。あまり強すぎても彼女達はきっと僕を歓迎しないよ」
リューク(こいつどんな記憶力してるんだ……?)
月「ま、馬鹿に付き合うのは前の学校でも同じだったからね。真に優秀な人間は低劣な人間とも付き合えるのさ」
リューク(確かに部活見てるよりライトの裏の顔見てるほうが面白!)
月「さ、適当に切り上げて早く帰ろう。ゲームでもやろうよ」
リューク『うほっ! 地球防衛軍2やろうぜ!』
総一郎「な、なんだこの店は!」
月「父さん声大きいよ。ここは興宮で最近有名な店だよ。デザートが美味しいらしいよ。見れば分かると思うんだけどそれだけじゃないよ」
総一郎「あの服は…制服か…とんでもないな…!」
月「別に如何わしい店ってわけじゃないよ。たまには父さんと親子水入らずでこういう店に来たかったんだ。と言っても僕も来るの初めてだから勝手が分からないんだけど…何食べようかな」
総一郎「うお! いいのか!? あの服のあの角度はいいのか! なぁライト!」
月「うるさいよ父さん」
総一郎「おおう……おおう…見える…見えてしまう…畜生! デザートの傍ら、女の子というオカズも売ってるってわけかよ!」
月「誰が上手いこと言えと言った」
総一郎「くっ、駄目だ私は刑事だ! こんな店に来ては…! 母さんに殺されちゃうよぅ!」
月「……秘密にすればいいじゃないか。それに粧裕は来たことあるらしいよ。制服がかわいいって興奮してた。その姿を見て僕も興奮した」
総一郎「えっ!? いかん! いかんぞ! 粧裕があんな露出度の高い制服を着ては……駄目だ…。…はーっ。はーっ。HAA! あっおっい、いかん…! うっ……!」
月「……父さん? なぜ小刻みに震える? 父さん?」
総一郎「さて、何を頼もうか」
月「待て! なぜ急に冷静になる! おかしいじゃないか!」
総一郎「ライト…はしゃぎたいのも分かるが落ち着きなさい。他のお客さんに失礼だぞ」
月「う、うん…分かったよ…。なに頼む?」
総一郎「そうだな……いや、やはり冷たくて気持ち悪いから先にトイレに行ってくる。先に頼んじゃ駄目だぞ。待ってて」
月「気持ち悪いって何が!? 父さん! ……」
リューク『人間てすげーな。死神はあんな服着ない』
月(……死神も同じようなもんじゃないのか?)
総一郎「ライト、この間話した、この村の事件のことなんだが……」
月「父さん。こんなところで話すことじゃないよ」
総一郎「うむ…そうだな…。おっ…料理もそうだが、デザートもなかなか美味いな」
月「そうだね。制服だけで客寄せしてるのかと思ったけど、中身もしっかりしてる」
総一郎「おいおいライト、ほっぺに生クリームがついてるぞ」
月「そう? はは、何だよ。父さんこそ顔中真っ白じゃないか」
総一郎「おっと! こりゃ一本取られたな」
月「ははは」
総一郎「わっはっはもけけー」
沙都子「そんな……知恵先生が……。」
梨花「……。」
魅音「職員室で倒れてるところを校長先生が見つけたんだって。多分、みんな帰った後に一人きりで……。」
月「……どうしたんだ?」
魅音「ライちゃん…。知恵先生が…。」
月「! …………。知恵先生が死んだ…? ……心臓…マヒだって…?」
レナ「私たちもさっき聞いたの。」
月「だから朝から学校が妙にバタついていたのか…」
沙都子「で、でも、ならどうして朝のHRで知恵先生は病欠だなんて嘘ついたんでしょう。」
月「……先生達も半分パニックになってたんだろう。大人が状況を把握できていない時に生徒達を混乱させるようなことはしたくなかったんだと思う。ほら、今も知恵先生のことを聞いただけでみんな明らかに動揺している。…中には泣き出している子もいるじゃないか…。くっ…知恵先生…」
魅音「ライちゃん…。」
レナ「ライトくん…大丈夫かな、かな?」
月「…出会ってまだ日も浅かったけど…知恵先生はとても素晴らしい先生だった。前にいた学校じゃあんなに生徒に親身になってくれる人なんていなかった。先生…どうしてこんな事に…」
魅音「ライちゃん……そんな顔しないでよ…。」
沙都子「綿流し前なのに…。」
梨花「…沙都子。」
月「……。」
魅音「綿流しとは関係ないよ。知恵先生は自然死なんだから。」
沙都子「……でも。」
魅音「沙都子。」
沙都子「……はい。」
月「なんの話だ?」
魅音「……何でもないよ。」
月「……」
レナ「………。」
レナ「ライトくん。」
月「ん?」
レナ「なにか……嘘をついてないかな、かな?」
月「……? 嘘?」
レナ「あ、その……責めてるとかじゃなくて……。レナは目を見ればその人が嘘をついているかどうか分かるんだよ。それでライトくんが何か嘘ついてるように感じたから……。……違うの。何となく気になっただけで、嘘が許せないとかそういうことじゃないの。ごめんね、ごめんね。」
月「……そうなんだ。でも、僕って結構何を考えてるか分からない奴って言われるんだよ。本当に目を見ただけで嘘かどうか分かるの?」
レナ「う、うん。」
月「じゃあ……僕の目を見て」
レナ「あ……。」
月「『僕は女だ』」
レナ「……嘘。」
月「『僕の父は警察官だ』」
レナ「…ほんと。」
月「『僕には死神が憑いている』」
レナ「………。」
月「『僕は新世界の神だ』」
レナ「……嘘、ついてない……。嘘なのに嘘じゃない…。あはは、なんだ、レナの直感も大したことないかな、かな?」
月「僕はレナが好きだ……」
レナ「そ、それは嘘! ……でも、ライトくんの嘘は嘘かどうか分からないから……。」
月「レナ……」
レナ「ラ、ライトくん……だ、駄目だよ…!」
魅音「あれ、なにしてんのー?」
月「何もしてないよ」
月「……リューク」
リューク『な、なんだ?』
月「リュークだな?」
リューク『な…なんの話だ?』
月「知恵留美子の名前をノートに書いただろって言ってるんだ! なぜそんなことをした!」
リューク『い、いや…。目障りだったから…』
月「…? 目障りだった…? どういうことだ?」
リューク『なーんかあの女、オレのこと見えてたような…』
月「…! なんだって?」
リューク『オレも気のせいだって思ってたんだが…。ライトの周りをウロチョロするオレをあの女………目で追いやがった』
月「! 勘違いじゃないのか?」
リューク『一回や二回だったらオレだって気にしないけどよ』
月「一度や二度じゃきかなかった、と?」
リューク『はっきりオレを見るとかそういうんじゃなかったと思うんだが、オレの雰囲気か何かは感じ取ってたんじゃないか? 黙ってても構わなかったんだが…やっぱウザかったから殺した』
月(死神が見えていた? ノートに触られたのか? いや、ノートは家の引き出しの二重底に隠してあるし、発見されれば燃えるようにもしてある…それはない…。
では切れ端を触られた? いま僕が持ってるノートの切れ端は財布の中に入っている数枚だけ。神としての裁きはほとんど本物のノートで行い、切れ端は不慮の事態にしか使っていない。万が一誰かに触られでもすれば面倒なことになる。
……その万が一が起きたか…? いや…そんな覚えは無いが…しかしここは…)
リューク『でももし死神が見えてたんだとしたらお前にとってもマズイだろ? 今回は特別サービス…』
月「馬鹿いうなよリューク」
リューク『え?』
月「なんてことをしてくれたんだ! 人がわざわざ雛見沢とは関係の無いところで犯罪者を裁いていたっていうのに! それもご丁寧に心臓マヒだと!?」
リューク『な、なんだよ』
月「いいか? 世界はもうすぐ神の存在に気づくだろう。神は犯罪者だけを選別し、心臓マヒで殺せるのだと。いずれ世界の正義は変わり、僕は新世界の神となるが、今はまだ犯罪行為だ。警察はキラを捕まえようとするだろう。その時に手がかりになるのが、心臓マヒという手口だ。
僕は警察関係者しか知りえない犯罪者も裁いている。すなわち…。そう遠くない将来、キラは警察関係者であるという結論に達するはずだ。だが、そこまでは想定の内だ。そこからが問題なんだよ。
こんな地方の、誰も知らないような村で心臓マヒが起きた。どうなる?
警察はこの情報を掴む。しかし確たる捜査の根拠としては認識できないかもしれない。けどその村に警視庁から転勤してきた刑事とその一家がいるとなれば?
キラが追われるのは構わない。かく乱する手段はそれこそいくらでもある。だけど『夜神月はキラかもしれない』なんて疑いをもたれるのは、それこそ1%でもありえちゃいけないんだよ!
ただでさえ父は警視庁にいられなくなって警察の情報を得るのが難しくなったんだ。もしかしたら裁きの傾向から『犯人は警察内部の情報を得られなくなった』なんて思われるかもしれない。
リューク…。お前は僕の敵でも味方でもないと言ったな? あれは嘘か?」
リューク『……い、いや…嘘じゃない…』
月「今回の一見は明らかに僕に、いや、キラに対する嫌がらせだ。敵対行為じゃないのか?」
リューク『そ…そうだな。お前に一言相談すればよかったかもしれない……』
月「これで一つ貸しだからな。リュークは僕の味方じゃないけど、いつかそれなりの協力はしてもらう。わかったな?」
リューク『わ、わかった…』
月(……フフ…ここでリュークに貸しを作れたのは大きい。死神は利用価値がある。
さっき言ったことは嘘じゃない。嘘じゃないが、それでも僕が捕まるはずがない。
知恵は犯罪者じゃないし、本当に偶然心臓マヒで死んでる人間なんてそれこそ腐るほどいる。無能な警察がキラと僕をイコールで結ぶなんてそれこそ低い可能性だ…。
危険が高まったのも事実は事実だが、それでデスノートの存在が露呈することは絶対に無い。最初から僕を捕まえるなんて無理なんだよ…)
リューク『そういえばライト』
月「…なに?」
リューク『あの女…知恵とかいう女教師だが…偽名だったぞ。俺には本名丸分かりだったけどな』
月「! なんだって?」
月(偽名…何者だ? 若い女こんな所に住むくらいだから中には色々な事情がある奴もいるのかもしれないが…。結果だけ取り出してみればリュークが殺してくれてよかったのかもしれないな……)
月「とりあえず帰ってビデオでも見るか。今日は蒼井そらかな」
リューク『萩原舞がいいな…』
ピンポーン
月「ん?」
沙都子「ライトさん、わたくしがやって来ましたわよ!」
月「沙都子? どうして?」
沙都子「どうせ晩ご飯はカップラーメンか何かだと思いましたので、私がお世話を焼きに来たのですわ。」
月「わざわざ僕のために? ……沙都子……」
沙都子「そ、そんな情熱的な目で見ないでくださいまし! 勘違いしないで欲しいですわね!」
月「ふ、ふん! 勘違いなんかしてないさ!」
月「野菜炒め…うん、美味しい。沙都子って料理上手なんだな」
沙都子「当然ですわ!」
月「これなら…僕のお嫁に…」
沙都子「!?」
月「いや…なんでもない」
沙都子「……そ、そんなこと……。」
月(女なんて簡単なもんだ……)
梨花「………。」
羽入「なにやら不機嫌そうな梨花なのです。」
梨花「……そんなことはないわよ。」
羽入「またライトの事でも考えてたのですか?」
梨花「? なんで?」
羽入「いや別に、なのです。」
梨花「ライトってモテるわよね。」
羽入「はいなのです。顔だけで言えばピカイチなのです。」
梨花「……プレイボーイよね。」
羽入「……まあ、そうなのです。嫌なのですか?」
梨花「? なんで?」
羽入「いや別に、なのです。」
魅音「ライちゃーん。」
月「なんだいおっぱい(天才的な韻を踏みつつ)」
魅音「……ごほん! ライちゃん、お父さんとエンジェルモート行ったでしょ!」
月「な…なぜそれを!」
魅音「おじさんは何でも知ってるって言ったでしょ。随分と鼻の下を伸ばしていたみたいだけど…。」
月「いや…悪いがそれはない」
魅音「!?」
月「どんな娘を見ても…魅音に敵うおっぱいがいなかったんだ」
魅音「ラ、ララ…ライちゃん…。……私って…胸だけの女かな…?」
月「馬鹿野郎ーっ! 魅音! 何を言ってる!」
魅音「ひっ!?」
月「その最強のおっぱいは魅音だからこそ相応しい! 同じおっぱいを取り上げたってその適正に適う人間はほんの一握りなんだ! その点、魅音は最高だ! 魅音にそのおっぱいは必要! おっぱいは正義!」
魅音「こ…声が大きいってば…!」
月(……女なんてこんとんじょのいこ……)
?「ライちゃーん。」
魅音「げっ!」
月(このおっぱいは…詩音か)
詩音「……人の胸をジロジロと……。」
月「……ところで今日はどうしたんだ?」
詩音「たまたま近くを通りかかったのでお姉愛しのライちゃんに声をかけようかと。」
魅音「ちょっ…!」
月「そんな言い方照れるじゃないか。僕らはまだ健全な付き合いを…」
魅音「ラ、ライちゃんなに言って…。」
詩音「まあお熱いこと! それじゃあライちゃん、またエンジェルモートに遊びに来て下さいね!」
月「ワクワクが止まらねぇ!」
リューク(……前から気になってたが…あの姉妹って…)
レナ「こんばんは。」
魅音「やっほーライちゃん。」
月「二人とも…どうしたんだ、こんな夜中に」
レナ「あのね。二人でおはぎ作ったからおすそ分けに来たの。」
魅音「婆っちゃが作ったのもあるからいっぱいあるよー。」
月「二人で…? もう本当に僕と結婚してくれないか?」
レナ「は、はぅ…!?」
魅音「ななな、なに言ってんのさ、おはぎくらいで!」
月「済まない……僕にはどちらかを選ぶなんて…」
魅音「話を聞け。」
粧裕「ぎゃっ。おはぎだ。お兄ちゃんどうしたのこれ」
月「僕の将来の嫁達が作ってきてくれたんだ」
粧裕「…『嫁達』ってのもどうかと思うよ」
月「粧裕はいないのか?」
粧裕「い、いないのかって…彼氏ってこと? い、いないよ!」
月「いや…セックスフレンド」
粧裕「お母さん! お兄ちゃんがなんか言い出した!」
月「おいお前、母さんに言うなよ! やーめーろ! やーめーろーよ!」
幸子「……おはぎ?」
粧裕「うん。お兄ちゃんのセッ……えー…友達が作ったんだって」
幸子「ふーん、モテモテねー。お父さんも昔は結構モテたんだけどねー」
粧裕「お父さんは今でもモテるよ。私の友達の間でお父さん人気だもん」
幸子「ほんとに? へー……あんな堅物なのにねー」
粧裕「見てるだけならいい男だから。お兄ちゃんもね」
幸子「おはぎ一個貰おうかしら」
粧裕「あ、なんかね。その中のどれかに当たりがあるんだって」
幸子「あら何かしら……もぐもぐ。あら美味しい!」
粧裕「当たりってなんだろねー。わさびとかタバスコとか入ってるのかな」
幸子「じゃあこれは外れね。外れてよかった!」
粧裕「あはは。私も外れだったぎゃ」
総一郎「む…おはぎ…辛! かっら! うほああああ!!!」
リューク『おはぎって美味い…』
リューク『なぁライト』
月「なに?」
リューク『なんかこの間からライトの行動が村中に筒抜けみたいに感じるんだが…』
月「なんだ、今ごろ気づいたのか?」
リューク『ど、どういうことだ?』
月「こういう小さな村は村民同士のコミュニティが完成していてね。端の出来事が村全てに伝わるなんてよくある話なんだよ。僕としては自分の行動がどの程度見られてしまっているのか計る必要があったからね。だからこっそり本屋で写真集を買ったり、父さんとあんな店に出かけたりしたのさ。
その甲斐もあって、大体どの程度なら大丈夫で、どの程度なら伝わってしまうのか理解できた。どうやら思っていたより村人同士の情報交換が激しいみたいだね。あまり目立つことは出来そうにない。外で話すのはこのくらいの声が限界ってところかな」
リューク『全部計算通りってわけか……。さすがだな……』
月「おっと…靴紐が…」
…ペタ
月「……。……? ……」
リューク『なぁライト……。? どうした? おい。おーい』
月「……リューク」
リューク『お。やっと喋った』
月「デスノートを触っていない人間に死神が知覚されることはあるか?」
リューク「無い……と言いたいが、あの女教師の例もあるからな。だがそんな奴滅多にいないし、俺も経験が無い」
月「……。……リュークはリンゴォを食べるときに実体化するよな。そのリンゴを地面に落とせばどうなる? 当然リンゴは落ちるし、音もするだろう。リンゴは砕けるかもしれない。それは実体化した死神が小石を弾いたり、何かに触れて二次的な現象も引き起こせるということだ」
リューク『…そうかもしれないな……考えたこともないけど。死神界のルールと人間界のルールが同じなのか、人間界の物理法則が死神にも適応されるのかは知らない……』
月「………さっきの奴は何が目的なんだ?」
リューク『は? ……?』
月「………さっき、足音のようなものを聞いた」
リューク『? そうなのか?』
月「リュークは僕の敵でも味方でもない。だから自分に得がある場合以外は僕に協力なんてしないし、その反対に僕の邪魔もしない。だったな?」
リューク『…ああ…』
月「つまりさっきの僕の問いかけにリュークは分からないって顔をした。僕はそれを信じるよ」
リューク『なんの話だ?』
月「たぶん、どれだけ精巧な追跡者でもリュークの目はごまかせない。尾行者はあくまでも僕に気づかれないのが目的なんであって、僕が見えていない時には大胆に動いてるものだからね。だからそんな動きがあればリュークが見逃す筈が無い。
つまり、仮に僕の後をついてきている奴がいるとして、そいつは人間じゃない。
じゃあ死神か? なんて思ったりもした。でもそうだとしても、やっぱりさっきのリュークの反応はおかしい。同じ死神を見かけてもリュークは僕に教えないだろう。けど、逆を言えば嘘の返答もしないはずだ。リュークを信じるならね。
つまり、さっきの足音は人間でも死神でもなく……」
リューク『………』
月「気のせい、かな」
リューク『そ、そうか……』
月「気を張って損したよ……。さぁ、大神でもやるかな」
リューク『なんでいつも一人用のばっかりやるんだよ』
沙都子「ライトさん。」
月「ん?」
沙都子「ライトさんは、誰かに対して『いなくなってしまえ』なんて思ったことはおありですか?」
月「……。……どうして?」
沙都子「いえ…ふと思っただけなのですが。」
月「そうだな…うん、あるよ。『世の中腐ってる』『こんな奴はいない方がいい』なんてね。そういう感情は誰もが持っているんじゃないかな。だから、間違っているわけがない」
沙都子「……ですが。」
月「ん?」
沙都子「誰もが正しくありたくても、その境遇から正しさを選択できないこともある…のではないでしょうか。」
月「……。……」
沙都子「あ! い、いえ……もちろん許せない人もいますわ。『あの人さえいなければ』……わたくしは聖人じゃありませんもの。ですが……正しくあることを強要してしまうのもまた悪なのではないでしょうか。………おかしいですわね。なぜこんな話を……。わたくしはただ、夢の話をしたかっただけですのに。」
月「……夢?」
沙都子「はい……とても変な夢です。ここと同じ世界なのに、違う世界のような……。そんな変な場所で、これまた変な方に今のようなことを言われたんですのよ。まあ…所詮は夢の話なんですけれど。
……とにかく、あの…優しい人間になりたいな、とか…この話のオチはそんなところですわ。いやですわね! こんな辛気臭い雰囲気にするつもりじゃありませんでしたのに!」
月「…………」
リューク『……ライト?』