綿流しの夜

「……こんなところに勝手に入って大丈夫なんですか?」

鷹野「さぁ? どうかしらね……消されちゃうかも……くすくす。」

「おっぱいでかいなぁ」

鷹野「話を聞いて。」

詩音「……拷問具がこんなに……やはりあの逸話は本当だった……。ライちゃんは刑事の息子さんですから、毎年の事件も、全て知ってるんですよね?」

「いやらしい道具もあるのかなぁ」

詩音「外に出てて貰えますか?」

  

  

レナが心配だなあ

詩音「それじゃライちゃん、また。」

「うん」

魅音「あ、いた! ライちゃん!」

「魅音と梨花ちゃん…駄目じゃないか。迷子になったら…」

魅音「…ライちゃんがいなくなったんじゃない。」

「あれ、レナは?」

魅音「それがねー、いないのよ。どこいったんだか。」

リューク『くっくっく…白々しいなライト……』

梨花「………。」

「梨花ちゃん……どうだった? 演舞、上手くできた?」

魅音「え、見てないの!?」

「すまない……途中で色々とあったんだ……」

魅音「沙都子がいなくなって、それでも梨花ちゃんは頑張ったのに……あっ。」

「魅音……」

魅音「ご、ごめん。」

梨花「大丈夫なのです……。それより、レナが心配なのです。」

「そうだね…今のレナは何をするか分からない。手分けして探そう

魅音「うん!」

  

  

お祭りの夜はどう足掻いても開放的になっちゃうの。

魅音「……ねぇ、ライちゃん。」

「ん? 魅音はこっちじゃないだろ?」

魅音「そうじゃなくて……ライちゃん、詩音と会わなかった?」

「会ったよ。鷹野さんと富竹さんと4人で祭具殿に入った。あんなおっぱい二人組みと密室で一緒にいるんだから、もう僕、興奮しちゃって。そうしたら追い出されちゃったよ」

魅音「そ、そう……。その話、誰にもしない方がいいからね!」

  

「さてリューク。今こそ借りを返して貰うときだ」

リューク『え!?』

「別にそう大したもんじゃない。……探してきて欲しいものがある」

  

リューク『おーい』

「お帰り」

リューク『やっぱり診療所にいたぞ。だが、会話を聞く程度じゃ済まなかった。あの富竹とかいう奴が鷹野の命令で数人に襲われてたんだよ。注射してた』

「! ……本当ならここでそいつら全員リュークに殺して欲しいところだが…。そこまでは期待しないさ。」

(実際にこの目で見ていないから奴らが何を企んでいるかは推察しかできないが……。富竹を殺したのならその疑いが自分にかかることは明白なはず……。あるいはここで自身の死体を偽装でもして、全ての罪を入江に被せるつもりか? ……ならそれで得られるものは……。……。……。
まあいい。ここで鷹野を殺せば様々なことに片がつく。偽名を使っている可能性も考慮して、分かりやすい死に方を指定しよう

  


鷹野三四 今夜中に姿を消した後に焼身自殺


  

  

白々イト

総一郎「ライト……落ち着いて聞きなさい」

「……! なんだって、富竹さんと…鷹野さんが!?」

総一郎「富竹氏は喉を掻き毟る変死……鷹野三四氏は焼死体で見つかった…」

「! ……」

総一郎「……そしてもう一つ……」

「…………嘘だ……。レナが……」

総一郎「…ライト……」

  

  

ネグレクト

リューク『雛見沢の裏にある組織ってのを壊滅させたりしないのか? 面白そうなのに』

「嫌だよめんどくさい。第一、証拠が無い。というかリュークが見た感じ、リーダー的存在の鷹野が死んだんならもう何も起こらないよ。多分ね。
……富竹を殺したことでその容疑は鷹野と入江にかかるだろう。だから鷹野達が僕が考えている通りの存在なら、その罪を入江に被せるために鷹野を死んだことにする……ということまでは簡単にたどり着けた。問題は何を企んでいるかなんだが……僕としては鷹野は偽名で、僕が指定した死に方とは違う死に方をする……そのくらいはやって欲しかった。そこまで頑張るんなら、じゃあ僕も本腰を入れるかな、なんて思ってたんだけど……。……まったくぬる過ぎる…」

リューク『やる気無いな』

「そりゃね。僕は新世界の神として悪を裁かなきゃならないんだ。秘密組織だなんだをしょっ引いたところで、一部の官僚の首が飛ぶだけだと思うよ。そんなことより、より多くの人々を救う使命が僕にはあるんだ」

リューク『つまり?』

「放置プレイ。一応、僕の考えを父に伝えようとも思ったんだけど、今更……。
……でもな。雛見沢なら静かに裁きを行えると思ったんだけど、予定が外れた。これならもといた所の方が便利だったよ。どうにか帰る方法でも探そうかな…」

  

  

おっぱいスカウター

「ひかるかっぜっをーおいーこしたらー」

リューク『にんにん!』

魅音「ライちゃんおっはよー。

「ん? ああ、おはよう魅……。……」

魅音「どうしたの?」

「おはよう魅音」

魅音「……ねえ、ライちゃん。昨日の夜なんだけど、詩音に会わなかった?」

「……。会わなかったよ」

魅音「そっか…ほんとに?」

「ああ」

  

  

  

電話だよ

 『もしもし。ライちゃんですか? 夜分遅くに…。』

「ああ。詩音か…。そんなことより聞いてくれ僕たちが分かれたあと鷹野さんと富竹さんが殺されたんだよどう考えても祭具殿に侵入したからとしか思えないんだだから僕たちもあの二人に関わっていたことを誰にも漏らさないようにすることと身辺の状況に注意することそして今夜のようにお互いの情報を細かに交換し合うことを提案したいんだけどどうかな」

 『え…ええ…それがいいですね…。』

「うん、それじゃあまた今度ね。……。さてと……」

  

「夜分遅くにメンゴ! 魅音さんはご在宅ですか?」

 『! ラ、ラ、ライちゃん…どうしたの?』

「あれ。随分と早く出たな。もしかして僕の電話を待ってたとか?」

 『そ…そんなことないよ、うん!』

「なんだよ残念だな」

 『ところで、なに?』

「ちょっと魅音の声が聞きたくなってさ。あ、お魎ちゃんに代わってくれる?」

 『あ…あー、あのね、婆っちゃはちょっと……寝ちゃったんだ。最近ちょっと体調が悪いみたいでねー、ごめんねー。』

「そうかぁ…分かったよ。夜遅くごめん。じゃあね」

 『あ……。』

  

  

学校で

梨花「ライト。おはようなのです。」

「おはよう梨花ちゃん……大丈夫か? その…色々と」

梨花「はい…ところでライト。聞きたいことがあるのです。」

「ああ…祭具殿に入ったんだ」

梨花「そ、そうなのですか。」

「父から聞いたんだが、公由村長も失踪HOLIDAYだそうだね。もし鷹野さん達がこの村の暗部によって殺された、なんて想像を働かせている人がいたら余計に恐怖してしまいそうな状況だ。ところで話ってなんだ?」

梨花「い、いえ……。あのー。えーと…。…助けてあげて欲しいのです。」

「! ……。どういうことだ?」

梨花「ライトは大体のことは分かっていると思うのです。詩ぃが綿流し翌日に姿を消していることも知っているのでしょう? 本当はボクが何とかできればいいのですけど……もう何も言わずに最悪の事態になるのは嫌なのです。もしかしたらライトなら…そう思ったのです。」

「……。……。分かった…」

  

リューク『で? どうするんだ?』

「もう少し僕の中で考えが纏まったらとも思ったんだけどね。梨花に言われて行動する形になったのが気に食わないけど、まあまだ犯罪が起きて無いならそれを防ぐに越したことはない。僕は自分の正義に殉じるさ」

リューク『……』

「しかし梨花もある程度の知能はあるようだな」

リューク『…くっくっく…』

  

  

電話だって

「はい夜神ですが」

 『ライちゃんですか?』

「ああ。ところで、お前はどっちだ?」

 『……はい?』

「綿流し後に詩音の行方は途絶えている」

 『く……。

「く?」

 『くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ』

「おっぱい! おっぱいおっぱい! 乳首! 乳首乳輪!! 乳首乳輪乳首!!!」

 『かけ間違えました!』

  ガチャン!

「はふーん」

  

  

行ってきます

大石「それでは我々は園崎邸を包囲します。ライトさんの希望でこういう形を取りますが……本当はおすすめ出来ませんよ。」

「無茶を言って申し訳ありません」

総一郎「ライト。お前の友人を救ってやれ」

「ああ…任せておいてくれ」

総一郎「この村では……色々とありすぎた」

「……そうだね」

大石「この状況で何かするとも思えませんが、相手は園崎次期党首です。十分に気をつけてくださいよ。1時間たって戻らないようであれば、強引に突入します。ですから、それまでに……。」

「1時間……ジャスト正午か…分かりました」

  

  

地下へ

「じゃあ……公由村長やお魎ちゃんも……詩音も…?」

魅音「……詩音は生きてるよ。」

「! 本当か?」

魅音「案内するよ。監禁してあるんだ。」

「ああ…。……。……あと20分で12時だな」

魅音「? うん…そうだけど…。」

「さぁ、行こう」

魅音「うん。……なにしてるの?」

「んー? ちょっとね」

  


園崎詩音 12:00 自ら舌を噛み切って死ぬ


  

(馬鹿女が……お前の策は読めている……逃亡手段もだ。こうやって警察に包囲されることもお前の考えの内だろう。大方、僕を利用したつもりなんだろうが……。そんな古典的な入れ替わりトリックが僕に通用するとでも思っているのか? 本物の魅音の目の前で自殺しろ)

  

  

気絶完了

魅音「詩音はあの中だよ。」

「そうか…」

(ちっ、あと30秒で12時だ…少しかかりすぎたか……まあいい……ん?)

「大丈夫か? 魅音。ん? どうしたんだそんなに慌てて。後ろ? 後ろに何があるっていうんだ。おっと騙されないぞ。僕が後ろを向いている隙にそのおっぱいで、アフゥン!!」

  

  

『3時のおやつ』は実は理に適った行動なんだって

「う、うーん……は! 駄目だサユ、僕らは兄妹……! ん? ここは…」

魅音「……ライちゃん、何の夢を見ていたのかなぁ……?」

「……なんだ? これは…どうなってるんだ?」

魅音「正直、あんな簡単にスタンガン食らってくれるとは思わなかったよ……ライちゃんって意外と馬鹿……?」

「誰が馬鹿だ! そうか……。さっきのは電流だったのか……け、結構気持ちよかったなぁ」

魅音「………さぁライちゃん。命乞いすれば助けてあげないこともないよぉ?」

(……この僕が命乞いだと? 新世界の神だぞ! 頭のおかしい馬鹿女が! くそ…このままこの馬鹿女に死なれたら拘束されたまま動けなくなる……なんてことだ……。……警察がここを発見してくれれば助かるだろうが…時間がかかるな……。
拷問でもするつもりか? 冗談じゃない! こんな女にそんな惨めな目に合わされるのは僕のプライドが許さない! ………何とか口車に乗せて拘束を解除させなければ……大丈夫、僕なら出来る……。
……。……ちょっと待て。時間は……?)

「なぁ、魅音……いま、何時だ?」

魅音「時間なんか気にしてどうしたの? もしかして助けが来てくれるとか期待してる?」

「…………」

魅音「諦めたってわけ? ライちゃん素直でいいねー。今は12時10分だよ」

  

  

                        

  

  

あれぇ、俺ちゃんと答案に『ウ』って書いたっけなぁ…『エ』とか書いた気がするなぁ……やべー思い出せねー

  

「…………。………?」

(……えぇ? 12時ジャストに心臓麻痺を指定したはず……)

魅音「どうしたの? やっぱり死ぬのが恐くなった?」

「…………馬鹿な……そんな筈無い……ありえない……!」

魅音「……なんだか幻滅だよ。

(なぜだ!? ……! 名前を書き間違えた…? 僕に限って……どういうことだ……何を間違えた……。切れ端がデスノートじゃなかった……それはない。考えられるのは詩音と魅音が入れ替わっていたというのが僕の思い込みだということ……。いや、神たる僕が出した結論だ……。間違えている筈が無い……本当に? 本当にそうか? ……やはり字を書き間違えたとしか……あああー?)

  

  

翼を授ける

「……。……。…魅音」

魅音「なーに?」

「…喉が渇いたな」

魅音「こんな時に……まあいいよ。お水をあげる。お猪口でね。」

「いや……レッド・ブルをくれないか?」

魅音「駄目だね。高飛びするつもりでしょ?」

(! まずい……思ったよりも読まれている)

魅音「ポーションならあるけど。」

(こ、殺される!!)

  

  

入れ替わり

魅音「さぁてさてさて……どうやって嬲ってあげようかなぁ……。嬲るっていうのは間違いかな? 漢字的にさぁ。」

(黙れ馬鹿女! 今考えている最中だ……くそっ! ……混乱している……落ち着け…何か手がある筈だ…)

魅音「聞いてる詩音!? これから始めるからね! ……? 詩音は随分と静かになったね。泣きつかれたのかな?」

(詩音………? ああ、魅音のことか……。そういえばあの女が何も言わないのはおかしい。詩音の賛同者でもあるまいし……。愛すべき僕が殺されようとしている時に静止の声をあげないとは……。
物言えないように拘束されているのか…? いや、そうされていないのは、今の詩音の口ぶりで明らか……。ならば眠っているのか? こんな時に何をやっている…! ……馬鹿…そんなこといま考えるようなことじゃないだろう。落ち着け! 
……。……何も言わない…? 何も出来ない……? …………! そうか、そういうことか! ……僕がこんな読み違いをするなんて……)

「なぁ、魅音……いや、もういいか、詩音……」

魅音「! なにを……。」

「もういいんだ、詩音……。僕には分かった。いや、最初から分かっていたんだ。二人が入れ替わっていること」

(やってやる……僕なら出来る……)

魅音「……やっぱりさすがですね。ライちゃんならもしかして、と思いましたが……。

「……。……。いや、僕の考えでは多分……僕が出会う前から……かなり幼い頃から二人は入れ替わっていたんじゃないか? ……」

魅音「! ……どうして……? 園崎の後継者が決まるあの夜…魅音…ううん、詩音は確かに私を出し抜いて……。だから、本当の園崎魅音は、私。でも、どうしてそれが分かったんですか?」

(読 み 通 り ! !)

  

  

新世界の神に、僕はなる!

「普段から引っかかっていたんだ…魅音が詩音に対して強く出れないことにね……。もちろん、単に性格上の問題なんだとも思える……。でも、どうしてもそれだけとは思えなかったんだ…。だから、可能性の一つとして考えていた…。そういうこともありえるかもしれない…。……君のことは何と呼べばいいんだ?」

詩音「……詩音でいいですよ……。今更……。」

「……人肉缶詰の話だって嘘だろう?」

詩音「……さすがにライちゃんには通じませんね……。でも、入れ替わっていること…私が何か企んでいることが最初から分かっていたなら、どうしてわざわざ危険を冒してまでこんなところにきたんですか?」

「…………。…………。分かってはいた。けど、わざわざここまで手間をかけて詩音がしなければいけないと判断したことだ。詩音にとっては大事なことなんだと思ったのさ。……もちろん、僕の身に危険が及ぶかもしれない。だけど、僕にとって詩音は掛け替えの無い友人の一人だ。何か思うことがあるのなら、それを貫かせてあげたかったんだ……」

詩音「………馬鹿ですね。ほんと、馬鹿。……悟史くんみたい……。

(……! 北条悟史! 行動の骨子は北条悟史か……? ならば……)

「僕は悟史のことは詳しくは知らない。……好きだったのか?」

詩音「………そう。私は悟史くんのことが好きだった……でも、園崎家は悟史くんを……いや、雛見沢が……。

(キチガイが……いまいち要領を得ないな……。つまりこの馬鹿がこんなことをしたのは、悟史のため……。その悟史はいない。レナによればそれは『転校』……だが、この村から追い出された、というだけではここまではしない……。キチガイのすることだ……芯の通った理由は無いのかもしれないが……詩音は、悟史が何者かによって殺された、と思い込んでいる……。くっ……とんだ馬鹿話に付き合わされているな……)

  

  

新世界の神になるんだってばよ!

「……復讐ってわけなのか?」

詩音「はい…。本当は梨花ちゃまも殺してやろうと思ったんですが…。まあ、ここから抜け出したらすぐにでも……。沙都子も私が殺す前に死にやがって…まったく…。」

(あったま悪いなー。さて、あまり下手に出ていると、助かりたいが為に時間稼ぎをしていると思われてしまう。ここからは強気に…)

「……それだけ悟史が好きだったんなら…どうして沙都子の傍にいてやらなかったんだ!」

詩音「な! 何を…! 確かに私は沙都子を悟史くんに託された!」

「…!…」

詩音「でもその悟史くんはもう……! ……全部沙都子の所為なんですよ! 裏で暗躍する園崎の所為! 私から次期当主の座をもぎ取ったくせに、悟史くんを救えなかった魅音の所為!! 北条家を毛嫌いする御三家の所為! 雛見沢の所為! 死ね! みんな! 殺してやる!」

(うわーウザい。ウザイなー)

「人を好きになることは素晴らしいことだ。誰かを殺したいくらいに悟史が好きだったんだろう? なら、当時の詩音は、色々な事情はあれど幸福だったはずだ。違うだなんて絶対に言わせない」

詩音「……。そうですよ。幸せでした。何物にも変えられないほどに。」

「だったらなぜ悟史から託された沙都子まで殺そうとした? 悟史が死んだからそんな託された約束に意味は無い、と?」

詩音「……はい。そうですよ? だからなんですか?」

「………そうだな。意味は無いのかもしれない。でも、意地は貫くべきだったんじゃないのか?」

詩音「…はぁ?」

  

  

この世界の神になりたいのデスノートで僕は。そんだけ!

「この茶番が復讐? 嘘をつくなよ。君は自分の感情や実体の無い疑惑を解消したかったに過ぎない。詩音は最後の最後で、幸福であった頃の思いよりも憎悪を優先させたんだ。魅音や沙都子、梨花ちゃんがどうのと御託を並べてはいるが、結局は不条理の理由を他人の中に求めたかっただけだろう」

詩音「……お前に何が分かる。」

「敵討ち? 復讐? なんのことです? 全部言い分けだろ! 悟史を失った自分が可哀想なだけだろ! 悟史のために、悟史のために……裏を返せばそれは、全てを悟史の所為にしているってことなんだぞ!」

詩音「違う! 違ぁあああう!!!」

(少し刺激し過ぎちゃったかな。僕の話をいつまでも大人しく聞いているとは限らない。ここからは慰める感じに…)

「……すまない。僕は詩音達のことを何も知らないのに……。……悔しかったんだ。詩音がこんな道を選ばなくてはならなかったことが」

詩音「……?」

  

  

この世の地図から未開を無くす男だ

「さっき言ったな。沙都子を託された約束にもはや意味は無い、と。
確かにそうだ。自分がやっていることなんて詩音にはもう分かりきっていることなのかも。いくら沙都子を託されたからと言っても、それは沙都子への愛情ってわけじゃない。全て悟史への想い故に、だ。沙都子のためじゃない。そんな上辺だけの繋がりは、今の詩音には意味も無いし、吐き気を催すものなのかもしれない。
……でも、だからこそ意地を張るべきだったんじゃないかと、僕は思う。約束を守る。沙都子を守る。守り抜く。強がりでしかないそんな行為こそが、『園崎詩音は北条悟史と出会って幸せだった』という証になるんじゃないのか」

詩音「……ぁ。」

「こんなものは欺瞞だ。分かってる。僕は酷なことを言っている。分かってるさ。だが欺瞞の何が悪い? 例え嘘に塗り固められていても構わないじゃないか。その奥には本物がある。自分は悟史が好きだったのだと、そんな想いを最後まで押し通したのなら……。きっとこんな風に、詩音が詩音自身の思いを否定しまう結果にはならなかった筈なんだ……!」

詩音「…もう…もう! …遅いんですよ…。全部…済んでしまった後ですから。

「ちくしょう…! ちくしょう! なんでこんなことに…!」

詩音「……。……。ライちゃん。」

「……。……?」

詩音「もしも…もしもやり直せるなら…私…。」

「ああ。その時こそは大丈夫だ! 絶対に…!」

  

  

電撃ライト

総一郎「ライト! どこだ!!」

「! 警察! 詩音! 逃げろ!」

詩音「!?」

「結局は詩音が決めることだ。とりあえずは逃げて、冷静になるんだ。そしてその時にまだ僕を殺したければ………いつでも来い。あ、でもその前に拘束を……」

詩音「……くっ!」

「ちんげ!」

リューク『ぶほっ! また電撃! あ……逃げた。くくく…結局拘束はこのままなんだな…』

  

  

裁き

「う……」

総一郎「! 気がついたか、ライト」

「ここは…病室…。…それより…魅音は……詩音は……」

総一郎「魅音くんは行方が掴めないそうだ。あそこまで包囲されて逃げおおせるとは…。しかし詩音くんは無事に保護された…だが、体が無事でも心が……

「! ……詩音が…『保護』…」

総一郎「どうした?」

「いや…結局僕は何の役にも立たなかったんだなって思って…」

総一郎「…そんなことはないだろう

「ありがとう…。……ごめん、少し一人にしてくれないか…」

総一郎「…わかった…

「……リューク」

リューク『はいはい?』

「僕は服を着替えさせられているわけだが、誰もノートの切れ端に触っていないな?」

リューク『ん? ああ…もし触ってたら大騒ぎになってるからな』

「だろうね……あったあった。財布の中とはいえ、誰かが触る可能性はゼロじゃないからね。ところでリューク。魅音が行方不明で詩音が保護…何か気にならないのか?」

リューク『馬鹿にするな。それくらい俺だって分かる。どうせ服でも交換してまた入れ替わったんだろ。警察に保護されて逃げるために。もう片方はどうせ死んだ後だから、どっかに隠せばいいだろうし。あそこはそういう隠し場所が沢山ありそうだからな』

「なんだ、なかなか理解力があるな。さてと……」


園崎魅音 北条悟史への思慕と罪の意識に苛まれ続け発狂し、23日後に自殺


「この村の病気は便利だな。少し無茶な殺し方でも実行される。それにしてもまったく…手間をかけさせる…女のくせに…。新世界の神に対する度重なる非礼…反吐が出る罪深さ。己の愚かさを最後まで悔やみつつ、その悔恨の中で死ぬがいい」

  

  

ある晴れた日のこと

リューク「お前はあの娘の変装をおっぱいで見破ったのか?」

「唐突だが例え話をしよう」

リューク「? あ、ああ……」

「常日頃から気になっている男に唇を捧げたとする。その翌日、その子は普通の顔してその男に挨拶できるか?」

リューク「……人間のことに詳しくは無いが……。普通は照れたりするもんなんじゃ……おい待てライト」

「簡単なんだよこんなの♪」

リューク「俺を鷹野達の偵察にいかせたのは……」

「なんだよ。レナの時に見せてやっただろ」

リューク「………

「なんだよ。お魎の時に見せてやっただろ」

リューク「見てねーよ」