貴子ED後、続き物ですので、「海に行こう:思いつき編」を先に読んでくれないと意味がわからないかも

ギャグだから、深く考えては駄目。

海に行こう!
用意をしよう!編

「荷物は先に送っちゃうから、着替えとか水着とか、明後日までに用意しておいてね」

基本的には暇な夏休みの学生ばかり、電話で連絡を取り合えば簡単に予定は立ってしまった。

しかし、明後日までに用意しろとは・・・相変わらずですわね、彼女は。

翌日、私は一人でデパートの水着売り場に来ていた。6人中男性は瑞穂さんひとりともなれば、いやがうえにも気合が入る。

しかし、相変わらず女物は何でも高いわね・・・家出する時に父名義のクレジットカードでも盗んで来ればよかった(←犯罪です)

値段とデザインとの妥協点を探す私に、背後から声がかけられた。

「厳島貴子さん、ですか?」

えっ?振り向くと八重歯の可愛い高校生くらいの女性が立っていた・・・何処かであったことがあるような・・・

「あの、上岡由佳里です」

あぁ~思い出した。確か・・・聞いてた寮生の一人・・・ですね。

「お久しぶりですね。上岡さん。前にお会いした時はお話しする機会を逃してしまいましたけど」

ちなみに前にあったときとは、聞かれたとき・・・忘れてる振りを決め込もう。

「あっ・・・はい。そうでしたね」

見る見るうちに真っ赤になる上岡さん。貴女がそういう反応すると、こっちも赤くなってしまうじゃないですか。

「「あははは・・・・」」

赤い顔のまま、お互いの顔を見て乾いた笑いを浮かべる。

「・・・お願い、忘れてください」

「・・・はい」

彼女の方へと視線を向ける。1年半前に会った時と比べれば背が伸び、大人びてきたように見える

「貴女も水着を?」

「はい、久しぶりにお姉さまにも会えますし」

すでに彼女の手には紙袋が握られていてる。どんな水着を買ったのかな?ちょっと気になる。

「クス、瑞穂さんが男性なのはご存知なんでしょう?」

と、言ってからしまった・・・と思った。案の定、彼女の顔はトマトのように真っ赤になって、それに釣られて私の顔もトマトのようになってしまった。卒倒しなくなったのは自分でも成長したと思う。

「・・・ごめん、思い出さないでください」

「・・・はい・・・」

コホンと軽く咳払いをして、まじめな方向に話を軌道修正。

「ともかく、貴女にとって瑞穂さんは未だにお姉さまなんですね」

「はい、ショックは大きかったですけど・・・お姉さまにも色々と事情があったみたいだし・・・それに、お姉さまが鏑木瑞穂でも宮小路瑞穂でも、尊敬できるお姉さまなのは変わりありませんから」

そう言われると、我が事のように嬉しい。

「それに・・・あの堅物の会長があんなに乱れてるって言うほうがショックが大きくて・・・」

「今すぐ忘れなさい!!」

大声を出しすぎた私たち(主に私)に視線が集中する。あわてて、由佳里さんの手を握って店内から走って逃げ出す。

「はぁはぁ・・・」

「はぁはぁ・・・」

「貴子お姉さまがあんなに大声を出すからですよ」

息を整えながら、由佳里さんが不平を口に出す。色々と言い返したいことはあるが・・・駄目、ちょっと肺が痛い。さすが、現役陸上部。

「はぁ・・・あぁ、もう、だったら・・・あんな事言わないで・・・ください」

「運動不足でしたら、鍛えなおしてあげますよ、陸上部の子達と一緒に」

謹んでご遠慮します。

  

そのまま、私たちは自販機でジュースを1本ずつ買って別れた。無駄に全力疾走をした体に、冷たいジュースが心地良い。

そして、鏑木の家に帰った私に、瑞穂さんが

「あれ、貴子さん、水着は?」

「・・・あっ」

  

仕方ないので、翌日、またデパートの水着売り場へ。今日は瑞穂さんもお父様の会社へ車を取りに行くので、デパートまで同行してくれた。

ちょっとしたデートのような気分になるが、女性水着売り場への動向はかたくなに拒否されてしまった。

まあ・・・流石に右を見ても左を見ても、ビキニだのワンピースだのでは、男の方は入りくいと思う。

「ここで待ってますよ」

水着売り場と同じフロアにある喫煙所。そこには自販機とベンチが置いてあって、他にも数人の男性が思い思いに時間を潰している。待たれるとゆっくり選びににくいのですが・・・早く選びましょう。

と、思っていたのに2時間も掛かってしまった・・・駄目じゃん、私。

喫煙所に帰ってくると、一人の男性が女性に耳を引っ張られ、引きずられていくのが見える。喧嘩?

「ごめんなさい。お待たせしてしまって・・・」

「あはは・・・大丈夫ですよ」

「流石に笑顔が引きつってますわね」

苦笑しながら、自販機で2本のジュースを買いながら言うと

「いいえ・・・あの、退屈なので同じように待ってた男性と話をしてたら・・・」

買ったジュースの一本を瑞穂さんに手渡すと、先ほどのカップルのことが思い出された。

「まさか、相手の女性に恋人が買い物してる最中にナンパをしてた、と勘違いされたとか・・・」

「男性の方は、貴子さんと一緒にいた所を見てたので、僕が男だと思ってくれたんだけど・・・」

確かに・・・自分の恋人が瑞穂さんと話してたら、勘違いもしますわね。あのカップルが別れたりしなければ良いのだけど。

  

デパートの近くにある鏑木グループ企業の営業所。確か、不動産関係の仕事をしてるとか言ってたはず。

その会社の駐車場。貸してもらえる車が教えられる。

「大きい・・・ですわね」

「大きい・・・ですね」

いわゆるライトバンという奴で、この車は8人乗りだそうです。かなりの長距離なので、このくらいのサイズがないと6人はきついというのはわかりますが・・・

「瑞穂さん・・・自動車学校を卒業して、何回車に運転しました?」

「同級生の軽四を4回ほど」

「さて・・・私は、徒歩で帰りますから」

すっと、背を向けるとぎゅっと私の手が瑞穂さんにつかまれてしまった。離してぇ~貴子ちゃん、おうちに帰る~~~~

「見捨てる気ですか!?」

「せめて、軽四10回くらいは乗ってからにしてください!」

「大丈夫ですよ。自動車学校はマークIIでしたから」

フォローになってるんですか?それ・・・車には全然詳しくないんですけど・・・

  

数分の押問答の後、結局私は瑞穂さん@ペーパードライバーの運転で帰ってくることになりました。

瑞穂さんの腕ですか?まりやさんよりかはずーっとマシでした。あれと比べていいものかどうかは微妙ですけど・・・

でも、パーキングブレーキの解除に5分間悩んで、コラムシフトの使い方に首をかしげた時は、生きた心地がしませんでした、本気で

  

補足

設定としては、一応、借りた車はタウンエースノア。本編とはほとんど関係ありません

ちなみに「パーキングブレーキの解除に5分悩んで、コラムシフトの使い方に首を傾げた」は、レンタカーでこの車を借りた時に、漏れが実際にやった事です(w

足元にパーキングブレーキのある車種もコラムシフトの車種も乗った事なかったんだもん

  

しかし、小ネタの詰め合わせみたいになっちゃったなぁ・・・