貴子ED。貴子視点。過去の「海に行こう!」シリーズ必読。

ヒロイン全員出てきて、もう、どうするんだ漏れ!見たいな感じで続く「海に行こう!」シリーズ。ようやく、水着シーン

当然、過去の話を読んでなきゃ、判りません。

海に行こう!
やっと泳ぐぞ!編

元寮組にとっては懐かしい、それ以外の二人にとっては始めてお会いした一子さんを交えたおしゃべりは、昨夜の深夜遅くまで続いた。

しかし、去年のお盆にあちら(?)を出て、お空で寝ている間に流されて瀬戸内海上空で目覚めたのが、1年後の8月頭って・・・非常識にもほどがありますわ。

時間は8時を回ったばかりだと言うのに、海岸沿いの窓から差し込む日差しはすでに猛暑を予感させる、まあ、今日は泳ぐ予定なのでちょうどいいですけど。

遅く寝たのに目覚める時間はいつもと一緒と言う、規則正しい生活が染み付いている自分が憎いですわね・・・ねむぅ・・・

「おはようございます、貴子さん」

眠い目を擦りながらリビングに入ると、昨日と同じように恵泉女学院の夏服を着た一子さんに出迎えられた。って、着替えをする幽霊って言うのも変ですが・・・

「おはようございます、一子さん」

さわやかな朝日が降り注ぐリビングに、ふわふわと浮いている幽霊と言う図は凄くシュールね・・・そういう状況に一晩でなれてしまった自分も凄いと思うけど・・・

「皆さんはまだ起きていらっしゃらないのかしら?」

「奏ちゃんはキッチンで朝食の準備。由佳里さんは朝のランニングに行ってますよ。ほかの方は・・・まだ、寝てらっしゃるみたいですね」

浮いたままあごに指先を当てて、少し考えるような仕草をしてから一子さんが教えてくれた。

奏さんが朝食の用意をしてるのなら、私も手伝った方がいいですわね。

顔を洗ったあと寝室に戻ると、まだ、瑞穂さんは心地よさそうな寝息を立ててい寝ていた。

まりやさんが瑞穂さんと同室にしてくれたのですが・・・気を利かせた、と言うよりも、からかうネタにする為としか思えない。

『瑞穂ちゃんは運転で疲れてるんだから、求めちゃだめよぉん♪』

ご丁寧に大声で・・・思い出しただけで顔が熱くってくる。恵泉出身なんですから、淑女らしい恥じらいを持ってもらいたいものですわ。

はぁ・・・恥ずかしい事を思い出してしまった。軽く頭を振ってそれを追い出すと、着ていたピンク色の寝巻きを脱いで、麻の白いシャツとジーパンに着替えた。どうせ、泳ぐ時に脱ぐのだから、簡単な服でいいでしょう。

  

「おはようございます、由佳里さん、奏さん、手伝いますわ」

食堂に戻ると薄手のトレーニングウェアを着た由佳里さんが佳菜さんと一緒に朝食をテーブルに並べていた。

「おはようございます、貴子お姉さま」

「おはようございますなのですよ、貴子お姉さま。それでは、お湯のみを持ってきて欲しいのですよ」

味噌汁の良い香が充満するキッチンに入ると・・・

「あら・・・?」

冷蔵庫の前に立派なスイカが一つ無造作に置かれていた。

「冷蔵庫の前のスイカ、冷やしておいて、3時に切りましょうか?」

少し行儀がよくはないけど、キッチンの中から大きな声で、外にいる二人に声をかけた。

「あっ、でしたら、中をくりぬいてフルーツポンチを入れて食べましょう」

その声に、お菓子作りが好きな由佳里さんが答えた。

スイカを器にフルーツポンチ・・・美味しそうですわね。と考えながら、冷蔵庫を開ける。

「・・・流石に・・・6人の一週間分は凄い量ですわね・・・」

少し引いてしまいそうな量の食材はどう整理しようと、スイカを丸ごと入れるスペースは確保できそうにない、が、何とか半分に切って収める事が出来た。器にするのなら、半分に切っても大丈夫・・・と。

スイカの汁で汚れた手をふきんで拭き、急須と湯飲みを6個確保して、食堂に戻ると、

「おはようございます・・・」

白いダボッとしたパジャマ、少し眠そうに目をしょぼつかせて、一房の髪が少しだけ跳ねていると言う破壊力の高い姿で、紫苑さまがそこに入ってきた。

『かっ・・・可愛い・・・』

3人の視線が紫苑さまに集中し、手が止まる。

「どうかなさいましたか?」

寝起きの目を擦りながら、手を止めた3人の顔を順番に見ていく。少し潤んだ目で小首を傾げる・・・その破壊力は反則です、紫苑さま。

「いっえ!何でもありませんわっ!」

「はい、なんでもないのですよ」

「何でもありません!」

あわてて、朝食の用意を再開する、3人。

「そうですか・・・」

と、ふらふらと洗面所のほうへと歩いていく・・・その姿をボーゼンと見送る3人・・・

  

「おはよう~・・・どったの?みんな」

まりやさんのその声が耳に届くのに少しだけ時間が掛かった。

  

「瑞穂ちゃん起きてないけど、ご飯食べちゃおうよ。疲れてるみたいだし」

それから5分ほどして、女性全員が食堂にそろうと、まりやさんがそう提案した。

瑞穂さんは疲れてるんだし、時間はたっぷりあるんだし、ご飯は暖めればいいんだし、と言うことでその提案は満場一致で可決され、朝食は女性陣だけで先に取った。

さてと、それでは早速着替えて泳ぎましょうか・・・

  

ジャッ!厚めのカーテンが引かれ、一応、外からの目隠しにされたリビングで、着替えを始める。

「あぁん、私も水着に着替えたいです」

制服を脱ぐ事は出来ても代えの水着がない一子さんが、着替え終わったメンバーの水着をまじまじと見ていく。

24年前の水着と今の水着とでは、多少違うのかしら?

「全然違いますよ!特にこの辺」

そう言って、私が手に持っていた水着の太ももの付け根辺りを指差す。あぁ、ハイレグって昔はなかったのですね。

髪をヘアゴムで止めながら、周りのメンバーの水着を見渡す。

私の水着はエメラルドグリーンのハイレグワンピース。

紫苑さまはブラックのワンピース、形は私のと似ています。

まりやさんは少し小さめの赤いビキニの上から、白いTシャツを着て胸の下で縛っている。ちょっと大胆ですわね。

由佳里さんは下がトランクスタイプになっているボーイッシュな蒼いビキニ。

で・・・奏さん・・・

「奏ちゃん・・・スクール水着で海水浴は止めようよ・・・小学生じゃないんだから」

まりやさんが疲れ果てた顔で私の気持ちを代弁してくれた。

しかし、紫苑さまにはヒットだったらしく、何度も可愛い可愛いといって奏さんを抱きしめていた。

なお、奏さんは、周りの説得に応じて、前にまりやさんのお母様が買って、置きっぱなしだったフリル付きのピンク色のワンピースに着替えた。

「まりやお姉さま、胸が余るのですよ~」

奏さんは大層凹んで、パットを2つ重ねて入れていた。

  

砂浜の砂は十分に夏の日差しを吸収して、ほんの30メートル先の波打ち際に行くだけでもビーチサンダルが必要なほど。

まりやさんの説明によると、遠浅の海岸で、50メートルほど先に浮いてるブイのあたりまでは何とか足が立つそうだ。

かなりの広さのある海岸を6-7人で占領してしまうのは少し贅沢なような気がする。

「フェリー乗り場のそばに大きな海水浴場もあるし、ここに来るにはあの細い道をくねくねと来なきゃいけないから、開放したって客なんて来ないわよ」

まりやさんが屈伸運動をしながら、笑いながら言った。まあ、確かに不便な土地だとは思いますけど・・・

「お姉さま、競争しませんか?」

少し離れた水際で由佳里さんが手を振っている。

「貴子もやる?」

「体力の有り余ってる現役陸上部部長と元部長に張り合う体力はありませんわよ」

「そうよねぇ~運動と言えばベッドでしかしてないお方には無理な相談でしたかね♪」

「誰がですかっ!?」

「じゃぁ、やるわよね?」

「当たり前です!」

しまった、乗せられた!と思った時にはときすでに遅く、私は勝ち目のない勝負をさせられる羽目になった。

うまくまりやさんに乗せられ、ブイまで3往復してしまった。疲れた・・・準備体操もそこそこにいきなりの100メートル3本はきつい。

「何?貴子、3連敗で納得しちゃうわけ?」

「貴子お姉さまって、案外、体力がないんですね」

だから、陸上部で鍛えられてるお二人を基準に考えないでくださいって・・・それとも、先輩後輩で私を苛めて楽しんでるんですか?(←被害妄想)

「もう・・・私の負けでいいですから・・・」

一方的に敗北宣言をした後、ぺたんと暑い波打ち際の砂の上に座り込み、青い海と空の境に視線を向ける。

内海の波は見慣れた太平洋の波に比べれば、ないといって良いほど穏やかで、足の下に流れ込み砂をさらっていく。

少し離れた所でまりやさんを中心に奏さんと由佳里さんと一子さんが走り回っている。本当に体力が有り余っているみたい・・・

少しボゥとしてしまった私の頬に冷たいものが押し付けられる。

「うひゃっ!?」

「うふふ、驚かせましたか?貴子さん」

手にジュースを2本持った紫苑さまが私の顔を見下ろしている。その一本が私の頬に押し付けられている。

そのジュースを受け取り、ふたを開けると、パシュッと言う気持ち良い炭酸の音がした。

「何を考えてたんですか?」

紫苑さまはクスクスと楽しそうに笑いながら、隣に座って同じようにコーラのプルタブを開けて、喉に流し込む。

「こういう輪の中に私が入っているのが、少し不思議で・・・」

「そうですか?」

「恵泉に居たときには想像もつきませんでしたわ」

「でしたら、きっと瑞穂さんのおかげなのでしょうね」

顔がかぁと赤くなるのが自分でもわかってしまい、私はただ「はい」とだけ答えて、そのまま俯いて黙り込んでしまった。

静かな波が寄せては引き、引いては寄せてくる。それが何度続いたかも数えられないようになった時・・・

「来年も再来年もその先も、こうやって集まれるといいですわね」

「一子さんはどうかと思いますけど」

紫苑さまの声に、ようやく赤みが引いた顔を上げて答えた。

「クス、そうですわね。毎年、お盆前に帰省では困り物ですわ」

「貴子~紫苑さま~、スイカ割しましょう!!」

向こうの方でまりやさんがバットを振り回して、大声を出している。

「行きましょうか?」

「はい」

悪友でも何でも、こうやって呼んでくれる方がいると言うのは、多分幸せな事なのだろう。

  

なんて思った私が馬鹿だった。

「由佳里、冷蔵庫の前にスイカがおいてるから、持ってきてくれる?やっぱり、夏の海はスイカ割よねぇ」

「えっ・・・?」

由佳里さんが固まった。もちろん、由佳里さんは私がそのスイカを真っ二つに切って冷蔵庫に入れちゃってることを知っているし、その上、朝食の準備の合間にフルーツポンチの下ごしらえも(と言っても切った缶詰の果物を冷蔵庫に入れただけですが・・・)してしまっている。

「えっ、って何よ?スイカ割するんだから、スイカがいるでしょう?」

バットを振り回さないで・・・お願いだから。これ言うの・・・やっぱり、私の役目なんでしょうね?

「それ・・・切っちゃいましたわよ」

「えっ・・・?」

私の言葉に今度はまりやさんが固まる。

事情をよく知らない一子さんと紫苑さんが顔を見合わせ、ぽんと納得したように手を叩きあって、噴出しそうになるのをこらえているのが見える。他人事だとおもってぇ・・・

「じゃぁ、仕方ないわね・・・」

仕方ないと思ってらっしゃるのでしたら、バットは片付けてくださいますか?

「仕方ないから、貴子割りでもしましょうか?」

「逆光でそういわれると、冗談に聞こえませんわよ?まりやさん」

「いや、冗談じゃないし」

バットを抱えてにじり寄ってくるまりやさん、少しずつ後ろに下がる私・・・そんな二人を見捨てて・・・

「さて、奏ちゃん、お昼の用意でもしようか?」

「はいなのですよ」

「やはり・・・現在でも夏の海というと粉っぽいカレーに伸びたラーメンがメインなのでしょうか?」

「具のない焼きそばとたこの入ってないたこ焼きを忘れてはいけませんわ」

と、残りの4人は海の家の定番メニュー論議をしながら、別荘に帰ってしまった。

奏さんと由佳里さんは同罪でしょう!!

  

その頃、忘れ去れている一応主役の瑞穂さん。

「いくら・・・いくら運転しても着かないよぉ・・・」

と、うなされていました。

  

(おしまいです)

  

アー疲れた・・・6人は無理だって、動かせないって、気が付いたら、何もしゃべってない奴が出そうになるって

何考えて、全部出そうなんて思ったんだろう?俺