貴子ED 「海に行こう!」シリーズを読まなきゃ理解できないです。

しかし、このシリーズ、ボケが供給過剰。

海に行こう!
ビーチバレーだ!編

まりやさんと馬鹿な追いかけっこをした後、別荘のリビングに戻ってきた。

「無駄な労力を費やしてしまいましたわ」

「あんたが余計な事をするからでしょ」

お互いにお互いのわき腹を肘でつつきあいながら、濡れた体をバスタオルで拭く。

他の4人はすでにそれを終わらせ、キッチンで食事の準備をしているようだ。

使い終わったタオルを肩にかけ中に入ると、テーブルの上にそうめんがたっぷりと盛られた大きなガラスの器が置かれている。

「お帰りなさい。ちょうどおそうめんが茹で上がった所ですよ」

紫苑さまが麦茶のポットを置きながら、こちらを向いていった。

「瑞穂ちゃんはまだ寝てるの?」

濡れたTシャツを絞りながらまりやさんが紫苑さまにたずねた。

「一子さんが見に行かれてますわ。寝てましたら起こしていただくようにお願いしてます」

「おはようございます・・・」

まだ少し寝たりないような表情で、瑞穂さんが一子さんと一緒にリビングに入ってきた。

「おはようございます。ずいぶんと良く寝てましたわね。もうお昼ですよ」

「なんだか、夢見が悪くて・・・」

大きなあくびを吐いて、洗面所のほうへと歩いていく。朝見たときは気持ちよさそうな寝顔でしたのに・・・

入れ違いで、奏さんと由佳里さんが食器の乗ったお盆とつゆの載ったお盆をそれぞれ持って入ってきた。

「出来上がりましたよ」

「出来たのですよ」

お昼の食事はそうめん、つゆに梅肉を入れて食べると、酸味が利いて食欲を誘った。そして、デザートには朝に下ごしらえをしたフルーツポンチ。上品な甘さのシロップにつけられた色とりどりのフルーツはいくらでも食べられる。

と言う事で、ちょっと食べ過ぎてしまったみたい・・・このまま泳ぐとお腹が痛くなりそうですね。

それは他のメンバーも同じだったようで、しばらくはリビングで海を見ながらの休憩と言う事になった。

「私も食べたかったです・・・」

と、一子さんが涙を流して悔しがっている。幽霊ですからね・・・

「じゃぁ、僕も水着に着替えてきますね」

そう言って瑞穂さんが席を立つと、私たちは取り留めのない会話をしながら、瑞穂さんが帰るのを待った。

開け放たれた窓から、心地いい潮風が流れ込んでくる。そのおかげで気温は30度を超えているが、不快指数は低いに違いない。

「お昼から何をする?」

「泳ぐ以外に出来ることあるんですか?」

まりやさんの質問に由佳里さんが聞き返す。いわれてみれば、山はあったけどどう見ても手入れがされてる様子はなく、ハイキングを楽しめそうには思えない。

「ビーチバレーなら道具があるわよ」

「楽しそうですわね」

まりやさんの提案に紫苑さまが同意をすれば、反対するものは誰もいなかった。瑞穂さんが着替えを終えて帰ってくると、早速チーム編成のくじが作られた。

どう考えても運動神経が発達している、まりやさん、瑞穂さん、由佳里さんの3人が同じチームにならないように二人ずつのチームが作られた

「で・・・こういう組み合わせね・・・」

そういうまりやさんの顔には「私は絶対納得してないぞ」と、はっきりと書いてある。

瑞穂さんと奏さん、紫苑さまと由佳里さん・・・私とまりやさん・・・悪意を感じる。絶対悪意を感じる。

もちろん、私も納得してません。まあ・・・3分の1の確率なんですから、言っても仕方ないんですけどね。

総当りで勝ち数が一番多いチームの優勝、と言うルールでゲームが始まった。

ちなみにびりのチームが夜のバーベキューの焼き係をすることになっている。焼いてると食べれないんですよね、バーベキューって。

  

第一回戦:瑞穂チーム対由佳里チーム。

「頑張ろうね、奏ちゃん」

「はいなのですよ!お姉さま」

「私はあまりスポーツが得意ではないので、足を引っ張ったらごめんなさいね」

「紫苑お姉さまなら大丈夫ですよ」

四人がお互いに声を掛け合い、ネットの両側に別れる。ボールに触れない一子さんが審判になり、ゲームの開始を宣言する。

・・・

点を取る度に手を叩き合って喜んでいる・・・ゲームですからね、点を取ればこのくらいはしゃぐのは当然。

それをコートの外に立てられたビーチパラソルの下に座ってみている。

「・・・貴子」

「・・・なんですか?」

「顔、引きつってるわよ」

うっ・・・私だって、瑞穂さんと一緒にゲームを楽しみたかったんですものぉ・・・

ゲームは結局僅差で由佳里さんチームが勝った。敗因は、奏さんの飛び跳ねるたびにずれる2枚重ねのパット。

「うぅ・・・」

「気にしないでいいんじゃないかな?色々と・・・」

瑞穂さん、それはフォローになってない。

  

第二回戦:瑞穂チーム対まりやチーム

「貴子、いいわね、狙うのは奏ちゃん」

「卑怯な手を考えさせたら日本一ですわね」

「まりや、聞こえてるよ」

「まりやお姉さま、酷いのですよ」

「勝てば勝ちなのよ!」

確かに勝てば勝ちですけどね・・・

まりやさんの立てた奏さん狙いの作戦が功を奏し、ゲームはこちらの一方的な試合運びになった。実行してしまってる私も私ですけど・・・だって、瑞穂さんと奏さんが手を叩きあってるのは見たくないんですもの。

何度目かのスパイクが奏さんの元に飛んでいった。奏さんは思わず飛び込んでそれを拾った・・・瞬間、4つのパットがポロッと落ちた。

「あっ・・・」

全員の視線が『そこ』に集まり、時間が止まった。

しゃがみこんで半べそになる奏さん、思いっきり悪者になってしまった私とまりやさんに批判の視線が集中する。

「えっと・・・まりやさんチームの反則負け」

審判一子さんが宣言した。

  

第三回戦

由佳里チーム対悪者チーム

私たち、悪者チームですか?そうですか・・・

「悪者チームには負けませんよ、お姉さま」

「そうですね、今のは良くないですわ」

紫苑さまにそういわれると、余計凹むのでお願いですから止めて下さい。

「まりやさんの所為で、悪者チームになったではないですか!」

「あんただって、きっちり実行してたじゃないの!」

それはそこ、乙女心という奴で・・・

「悪者チームのサーブからです!」

審判まで悪者チーム扱いですか?そうですか・・・

結局、悪は滅びました・・・流石に悪者悪者と連呼される中、実力が出せるほど、私もまりやさんも面の皮は厚くなく、ズタボロに負けてしまった。

  

「悪者チームさん、お肉が足りませんよ」

紫苑さま、嬉しそうに、悪者悪者って言わないでください・・・

  

(おしまい)